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しまねこかぶり

(一応)理系女子大生の日記です。研究室に通っています。活字と2次元が好き。マイペースで人付き合いはちょっと苦手なタイプ

2つの光

眠る前にベッドの中で読む本は、江國香織が最適だということが最近分かった。

 

これといって大きな事件が起こらないのが良い。淡々と話が進むから、どのページに栞を挟んでも、気持ちよく本を閉じられる。これって凄く大事なことだ。手に汗握るストーリーは面白いけれど、必要以上に興奮させられたり、続きが気になって眠れなくされることがある。だからベッドの中で読むのには向かない。

 

今は「がらくた」という小説を読んでいる。彼女は日常を素敵に切り取るのがとてもうまいと思う。登場人物たちが過ごす日々は、特に何も起こらないのにとても眩しく見える。それを見ていると、私の日常も見方次第で少しは素敵になるんじゃないかしらと、そして幸福な気持ちにさせてくれる。私もジャムを手作りしてみたいなとか、美術館にふらっと訪れるのっていいなとか、彼らの真似を色々考える。それは大抵考えるだけで、実現することはないのだけれど、考えている間は幸せだからそれで良いのだと思う。

 

そろそろ寝ようかと照明のリモコンに手を伸ばす。だいたい午前1時から2時の間。部屋を暗くすると私は決まって、左のほうの窓の外、カーテンの隙間に視線を向ける。そこからはいつも、2つの強い光が、まっすぐ私のベッドの高さに届く。

 

街灯か、どこかの部屋の明かりか、正体は分からないけれどいつの夜も2つの光はあって、暗闇の中でそれを見るとどうしてだか、私はひどく安心する。この足がちゃんと地に着いていると、確かめられた気になる。大袈裟に聞こえるかもしれないけれど。

 

直視できないほどの強い光が、しかし、目を閉じるとどこにも見えなくなってしまうのは不思議だと思う。そして私は、眠りを探しに行く。