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しまねこかぶり

(一応)理系女子大生の日記です。研究室に通っています。活字と2次元が好き。マイペースで人付き合いはちょっと苦手なタイプ

研究室をサボった日

その日、私は研究室に行くのが嫌で嫌でしょうがなかった。原因は主に、前日にあった出来事。ここでは割愛するが、一日中息をつく暇がなかったうえに、ショッキングなことがいくつも起こった。

 

スマホのアラームに起こされた朝、心も体も疲れていて、休みたくて、雨の音を聞きながら布団の中で薄目を開け、考え込んでいた。

 

そもそも、なぜ毎日毎日、文字通り朝から晩まで、研究室に通わなければいけないのだろう。”卒業”という目標を同じくする大学4年生でも、週に1度のゼミで発表ができれば良い人や、いっそ卒論を書く必要のない人だって大勢いる。私がピペットで試薬を吸い上げている間に彼らは、海外旅行へ行き、ディズニーランドへ行き、酒を飲み、あるいは昼過ぎまで寝ている。

 

こんなの不公平だ、などと主張するのはあまりにも幼稚だと、自分でもよく分かっている。私の専攻は実験しなければ結果が出ないし、実験にはどうしたって時間がかかる。それに、私たちにはきっと、彼らの何倍もの大学の予算が掛けられているから、それ相応の働きをしなくてはいけないのだ。

 

それでも、本当にしんどいときだけで良いから、休ませてくれる猶予がほしいと思うのはただの甘えだろうか。

 

とにかく今日は休んでやると決めて、毛布を頭からかぶった。それから何度か、時計を見た記憶がある。あるときは11時、あるときは12時半を指していた。その次は15時。その次は16時くらいだったと思う。毛布の中でうとうとしながら私は、迷惑をかけてしまった人と、迷惑をかけたかもしれない人のことを、雨の中ベランダに干しっぱなしにしている洗濯物のことを、20時にはバイトに行かなければいけないことを、冷蔵庫に入った卵の賞味期限を、そして明日、私を見て微妙な顔をするであろう研究室の人たちのことを考えた。

 

スマホが通知音を鳴らすたびにびくびくした。サボるのも案外楽じゃない、と思った。

 

翌朝は、ぎりぎりの時間になんとかベッドから起き上がった。体がひどく重たかったので、応急措置として私はマスクをつけた。なに食わぬ顔で現れた私を密かに責める人はあっても、褒める人は誰もいないだろう。私にとって、研究室とはそういう場所だ。