しまねこかぶり

(一応)理系女子大生の日記です。研究室に通っています。活字と2次元が好き。マイペースで人付き合いはちょっと苦手なタイプ

孤独な生き物

昔から、環境が変わる4月が苦手だった。思い出すのは、私の人生を左右するかもしれない重大な事実を、いともあっさりと告げるクラス替えの大きな紙。女子生徒の名前の羅列に目を滑らせながら、誰と一緒に行動できそうか、どこが自分の居場所になりそうか、必死に考えなきゃいけなかった。慣れない教室に向かえば、環境適応能力の高い人たちが早速いくつかの集団を形成していて、私を焦らせた。クラスが離れてしまった友達や、好きだったクラス担任との別れを惜しむ間なんて、誰も与えてくれなかった。

 

そう、私はいつだって、出会いよりも別れに囚われている。でも4月の世間は新しい環境にどこか浮き足立っていて、そんな私の心とうまく噛み合わない。

 

この春は、通っていた大学からそのまま、大学院に進学した。一人暮らしのアパートも研究室も変わらないし、新しい人との出会いもない。かわりに就職や他大の院への進学で、友達の半分くらいとお別れした。それも、私の心に割と近かった人ばかり。

 

大学の周りを自転車で走れば、あの自転車はあの子のに似てるなとか、この道はあの3人でよく走ったなとか、このアパートにはあの子が住んでたなとか、友人の面影ばかりに出会ってしまう。でも、新たな土地にいる彼らが道端で私の面影に出会うことはなくて、かわりに素敵な人との出会いがたくさんあって、私と過ごした日々の上に、刺激に満ちた日々をどんどん重ねているんだろう。私の心はまだ、別れに囚われているというのに。

 

そんな寂しさを男友達に吐露したとき、「まあ、人間は孤独な生き物だからね。」とさらりと一言。ひょうひょうと生きている(ように見える)彼がそんなことを言うのが意外で、「なんでそう思ったの!?」と尋ねると、「だって、一人でいる時間が一番長いじゃん。」もっと深遠な返答を期待していた私は、思わず笑った。

 

でも、彼の言葉は真理だなと思う。ある時期は毎日一緒にいた友人でも、気づいたら何年も会わなくなったりするし、一緒にいるのが当たり前だった家族でさえ、進学先が決まった途端に離れ離れになった。進学、就職、結婚と目まぐるしく変わる環境を超えて、人生をずっと近くで過ごせる他人なんていなくて、結局、ずっと一緒にいられる相手は自分だけだ。

 

そんな彼とも、大学の卒業式で最後に会ってから3週間あまり。今頃は、うんと遠い場所で寮生活をしているはずだ。私の心に近い存在の一人だったけれど、「人間は孤独な生き物だからね」と言った彼との別れには、不思議とそれほど囚われていない。