しまねこかぶり

(一応)理系女子大生の日記です。研究室に通っています。活字と2次元が好き。マイペースで人付き合いはちょっと苦手なタイプ

こんな日はちょっと散歩

私ごときがちまちまと頑張ったところで何も変わらない気がして、研究室の机にただ座り続けているのがしんどくなって、私はおもむろにパーカーを一枚羽織って、研究室を抜け出した。

 

私のいる大学は、やたらと自然豊かなのだ。私のいる研究棟の近くにも、草木の生い茂った大きな広場がある。広場の外周は小道になっていて、私はその道を、

 

歩く、歩く。

 

地面は柔らかかった。なんか、この感触懐かしいな。ああそうだ、駅から中学と高校までの行き帰りで毎日歩いていた道に似てるんだ。あの道は、わきを小川が流れていた。

 

誰にも聞こえないくらいの声で、鼻歌を歌った。誰かに隣を歩いていてほしいなあ、手を繋いでいてほしいなあ。でも、私の歌いたい歌を、私の歌いたいタイミングで、歌ってくれなきゃ困るなあ。そんな相手は、やっぱり自分以外にはいないのだった。

 

時折、ランニングウェア姿の人が私を追い抜いていく。軽く走っているように見えるのに、その背中はすごい速さで遠ざかっていった。あの人たちはきっと、何かを目指して走っているのだなあ。一方の私は、ただ逃げるために、とぼとぼと。でも結局は、この薄汚れた靴では何からも逃れられないのだ。現に、さっきから視界の片隅にはちらちらと、研究棟の赤茶色い壁がうつっている。

 

毎日がこうじゃないよ。それがたまたま今日だっただけだよ。じゃあ他の日はちゃんと頑張っているの、と聞かれたら、答えに詰まってしまうけど。

 

広場を一周して、小道の入り口に戻ってきた。来た時には気がつかなかった、看板が一枚立っている。「こちらはランニング専用のコースです」「ランニングシューズ以外での立ち入りはご遠慮ください」

 

ありゃー。道理で、走ってる人が多かったわけだ。これからはこの道は、使えないや......

 

足元が懐かしい土からかたいコンクリートに変わる。ポケットにはちゃんと、研究棟に入るためのカードキーが、忍ばせてあるのだった。