しまねこかぶり

理系女子大生の日記です。研究室に通っています。活字と音楽と2次元が好き。

カメの世話から始まる休日

連休が始まる前、男友達のHくんとごはんに行った。就活の状況とか、恋人の話とかを適当にして、「あ、そういえば、」と彼が言う。「今度の三連休、家を空けるんだけど、カメの世話お願いできない?」と。

 

Hくんはカメを飼っている。名前は忘れたので、カメ、と呼ぶことにする。聞くと連休の3日間、昼前に一度えさをやり、水を替えておくだけで良いとのこと。連休中、Hくんは遠方にいる彼女に会いに行くのだという。特に予定の無い私は、彼ののろけ話を適当に受け流しつつ、面白そうなので二つ返事でカメの世話を引き受けた。

 

連休初日。「カメ!」という使命感で9時ごろ起き、一応ちゃんと化粧もして11時前に出かけた。Hくんの家までは、チャリで10分ほど。部屋番号が合っているか不安を抱きつつ、彼から預かった合鍵で部屋に入った。合意の上とはいえ、誰もいない他人の家に入るのは泥棒みたいで緊張する。意味もなく足音を忍ばせて、部屋の奥へと進む。

 

いた!カメ。水槽の隅っこで死んだみたいにうずくまっている。甲羅の大きさは12 cmくらい。飼い始めてから随分大きくなったと、Hくんが言っていた。教わった通りに、冷蔵庫からほうれん草を出して5枚ほどちぎり、水槽に入れてやる。水入れには新しい水を足してやった。他人の家で勝手が分からず、ゴミを捨てるのだけでもあたふたする。

 

作業が終わって水槽の扉を閉めると、それまで微動だにしなかったカメが動き出した。一目散にほうれん草のもとへと向かうカメ。うわぁ、むしゃむしゃ食べてる。お腹空いてたんだね。カメの顔、小さくてしわしわだ。か、かわいい......。

 

甲羅を撫でてやりたくなって、「カメはサルモネラ菌とかをいっぱい持ってるから決して触るな」というHくんの忠告を思い出し、はっとする。また来るね、と心の中でつぶやいて、Hくんの部屋を後にした。

 

 

連休最終日。うわぁ、3度寝しちまったよ......という失意の中10時に起きる。あー明日までのES書き上がってないよ、今日郵便局15時までなのに、と焦る心でHくんの家に向かう。今日もカメは、水槽の隅でうずくまっていた。昨日ほうれん草を置いたえさ入れは、綺麗に空になっている。カメは水槽越しに私の姿を見つけると動き出し、ガラス戸にすり寄ってきた。かわいいやつめ、今ごはんをあげるからな、と心の中で語りかけながら、少しは慣れた手つきで最後のほうれん草をちぎってやる。カメが元気に食事を始めるのを見届け、部屋の電気を忘れずに消して(初日は忘れて帰ってしまった)、最後に合鍵を郵便受けに入れてHくんのアパートを後にした。

 

よし、ケーキ買いに行こう。Hくんの家の近くに、小さいケーキ屋さんがあるのだ。今まで場所が曖昧だったケーキ屋さんだけど、おかげで一人で行けるようになった。そして、この足で研究室に行ってESを書き上げ、ご褒美にケーキを食べるのだ。

 

 

休日の午前中に出かけられると、なんだかその日が上手くいった気分になる。ATMにお金をおろしに行くのでも、水道代を払いに行くのでも、カメにえさをやりに行くのでも、要件はなんでもいいのだ。カメの世話から一日が始まったこの三連休は、大した用事もなく暇だったけど朝から活動はできて、なんとなく上手くいったような気がしている。